大人になってからの親との同居、重視すべきものはプライバシー

親と同居している子どもはたくさんいますが、成人前と成人後では、同居する住宅で重視されるべきものは違うと思われます。

よく学齢期以前の子どもがいるファミリー向けの住宅は「家族との触れ合い」を重視した空間に作られているものが多いです。例えば皆が使うリビングなどを通らないと子どもの部屋に辿り着けないようになっている、など。常に親の目の届くところに子どもがいるのが理想、という子育ての発想から来た作りではないでしょうか。
子どもが成人する前なら理解できる発想ですが、成人してからの親との同居では、逆にお互いのプライバシーが重視されるような作りの住宅が必要になってくると思います。

それは大人同士の同居だからです。

それぞれ自分の生活があり、自分のやりたいことの妨げにならないような空間を保てる環境がないと精神的に健康な生活が送れません。プライバシーとは視覚的なものも聴覚的なものも含めたものです。
よく二世帯住宅では出入り口が別になっているものがありますが、出入り口は別にしなくても、入ってからはそれぞれの空間に直接辿り着けるような作りが必要なのではないでしょうか。
そして光や音が漏れないように、扉もしっかりと床まで着くぐらいの頑丈で分厚いものが理想です。壁の防音機能も強めで良いかもしれません。唯一出入り口が共通ということで、何か緊急事態でもあればそこで気づくことができる、といった点でしょうか。

お互いの生活を尊重できるような、「同じ屋根の下の複数の生活」が成り立つような、「大人向け二世帯住宅」が実現できる注文住宅が理想です。